子供に生成AIは何歳から使わせる?規約の年齢と、同じ年の子の利用率から考える

「12歳以下の子どもにはChatGPTを使わせない方がいい」。動画で広まったこの意見に同意しながら、ほかの人の考えを尋ねる質問が、2023年6月にYahoo!知恵袋に寄せられています(知恵袋 q13281057683)。

先に答えを書きます。家庭で「何歳から使わせてよいか」を決めた公的な基準はありません。決まっているのは、サービスごとの利用規約の年齢と、学校向けの指針までです。規約では Microsoft Copilot が13歳以上、Claude が18歳以上で、Gemini は13歳未満の子どもについて、保護者がファミリーリンクで許可した場合に使えるとしています。文部科学省は学校向けに、小学校段階の児童が直接使うことは、発達の段階などを踏まえてより慎重に見極める必要があるとしています。

同じ年の子を見ると、生成AIを使っている割合は、10歳以上の小学生で8.6%、中学生で30.8%、高校生で46.2%です(こども家庭庁、2025年11〜12月の調査)。

そのうえでの見立ては、規約の年齢は下限として守り、そこから先は「何歳か」より「その子がいま身につけている最中の作業を、AIに肩代わりさせていないか」で決める方が、これまでの研究と合っている、というものです。

生成AIは、何歳から使えることになっているのか

生成AIを使える年齢は、まずサービスを提供する会社が利用の条件として決めています。主なサービスの条件は次のとおりです(2026年10月時点の各社の公式ページによる)。

サービス公式ページにある年齢の条件それより下の年齢の扱い出典
Gemini(Google)13歳(国によって異なる)未満は保護者の管理が前提保護者がファミリーリンクで許可すれば使える。英国・欧州経済領域・スイスでは13歳未満は使えないGoogle ヘルプ
Microsoft Copilot13歳以上(国・地域によってはそれより上)13歳未満は使えない。18歳未満には保護のための設定が適用されるMicrosoft サポート
Claude(Anthropic)18歳以上使えないAnthropic 利用規約

Google は保護者向けのヘルプで、未成年向けのフィルタは不適切な内容を制限しようとするものの、完全ではないと書いています。ChatGPT(OpenAI)は、執筆時点で規約の原文を直接確かめられなかったため、表に入れていません。規約は改定されることがあるので、使わせる前に各社の最新のページで確かめる必要があります。

学校向けには、文部科学省の「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(令和6年12月26日)があります。学校での利用を一律に禁止したり義務付けたりするものではないとしたうえで(p.4)、小学校段階の児童が直接使うことは、発達の段階などを踏まえてより慎重に見極める必要があるとしています(p.17)。使わせる場合は、年齢制限を含む利用規約を校長や担当の教師が確認し、必要に応じて保護者の理解を得るよう求めています(p.19)(ガイドライン PDF【記事公開日時点で1年以上前の資料】)。

国際機関では、UNESCO が2023年9月の指針で、教室でAIツールを使う年齢の下限を13歳とするよう示しました(UNESCO【記事公開日時点で3年前の資料】)。各国への提言で、守る義務のある決まりではありません。

まとめると、家庭向けに「何歳から」を定めた公的な基準は見当たりません。あるのは、会社が利用の条件として決めた年齢と、学校向けの指針です。13歳という数字は規約にもUNESCOの提言にも出てきますが、どちらも家庭での使わせ方を示すために出されたものではありません。場面ごとの整理は子どもに生成AIを使わせていいのかを整理した記事で扱ったので、以下は年齢の問いに絞ります。

同じ年の子は、どれくらい生成AIを使っているのか

こども家庭庁の「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」の速報(令和8年2月公表)は、この年度から「生成AI(ChatGPT、Copilot、Gemini等)」の利用を尋ねる項目を加えました(速報 PDF p.12)。調査は2025年11月1日から12月18日に行われ、10〜17歳は本人が、0〜9歳は同居する保護者が答えています。10〜17歳は5,000人に依頼し、3,060人が回答しました(p.2)。

割合の分母は、何らかの機器でインターネットを使っていると答えた子です。ここでの「小学生」は、10歳以上の小学生だけを指します(p.12)。

生成AIを使っている青少年の割合(学校種別・令和7年度) 最大は高校生の46.2%、最小は小学生(10歳以上)の8.6% 小学生(10歳以上) 8.6% 中学生 30.8% 高校生 46.2%
図:生成AIを使っている青少年の割合(学校種別・令和7年度)(出典:こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」)
区分生成AIを利用(%)回答者数(人)
小学生(10歳以上)8.6847
中学生30.81,199
高校生46.2972

出典:こども家庭庁 速報 p.12(いずれかの機器での利用・本人回答)。10〜17歳の総数(3,030人)では29.5%です。

年齢ごとに見ると、次のようになります。

生成AIを使っている青少年の割合(年齢別・10〜17歳・本人回答) 最大は17歳の46.9%、最小は10歳の4.0% 10歳 4.0% 11歳 10.2% 12歳 18.6% 13歳 28.2% 14歳 31.2% 15歳 40.6% 16歳 43.8% 17歳 46.9%
図:生成AIを使っている青少年の割合(年齢別・10〜17歳・本人回答)(出典:こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」)
年齢生成AIを利用(%)回答者数(人)
10歳4.0277
11歳10.2353
12歳18.6360
13歳28.2404
14歳31.2413
15歳40.6379
16歳43.8409
17歳46.9435

出典:こども家庭庁 速報 p.14(いずれかの機器での利用・本人回答)。

小学生のうちは、使っていない子が多数派です。10歳で4.0%、11歳で10.2%、12歳で18.6%。13歳で28.2%、15歳で40.6%と、13歳前後から割合が大きく変わります。なぜこの年齢で変わるのかは、この調査からは分かりません。中学入学の時期とも規約の13歳とも重なりますが、それが理由かどうかは調べられていません。

9歳以下は保護者の回答で、6歳1.2%、7歳2.1%、8歳2.2%、9歳3.9%でした(p.14)。0〜9歳全体では1.6%です(p.13)。速報自体が、本人に尋ねた結果と保護者に尋ねた結果は直接比べられないと注記しているため、9歳と10歳の数字をつないで「10歳から増える」と読むことはできません。

数字の意味にも限りがあります。「使っている」は回答者の申告で、どのくらいの頻度で、何に使ったかは尋ねていません。宿題に使った子の割合は、この調査からは分かりません。また生成AIの項目は令和7年度が初めてなので、前の年より増えたかどうかもまだ比べられません。

「使わせないと、まわりから取り残されるのでは」という心配に対しては、少なくとも小学生のあいだは、使っていない子の方がずっと多い、というのがこの調査の示すところです。中学・高校になると、使っている子は3割から半分近くになります。

使わせると、考える力は育たなくなるのか

この心配に最も近い実験は、トルコの高校で約1,000人の生徒を対象に行われた数学の無作為化比較試験です(Bastani ら、PNAS 2025【記事公開日時点で1年前の論文】)。生徒を、ふつうの ChatGPT に近い画面のAI(GPT Base)を使う群、学びを妨げないよう指示を組み込んだAI(GPT Tutor)を使う群、使わない群に分けて比べました。

練習の時間には、AIを使えた群の成績が上がりました。使わない群と比べて、GPT Base で48%、GPT Tutor で127%高かったと報告されています。ところが、AIを使えない状態で受けた試験では、GPT Base の群は使わなかった群より17%低くなりました。GPT Tutor の群では、この下がり方がほぼ見られませんでした。著者らは、制限のないAIを、生徒が練習問題を解くときの松葉杖(crutch)として使ったと説明しています。48%と127%は練習中の成績で、学んだ力を測ったのはAIなしの試験の方です。

この結果から言えるのは、「使わせると考える力が落ちる」という心配は、答えをそのまま出すAIを、自分で解く練習の代わりに使った場合には、この実験で支持されているということです。一方で、ヒントを出す設計では下がり方がほぼ見られませんでした。結果を分けたのは、使ったかどうかより、何をAIに肩代わりさせたかでした。

ただし対象は高校生で、教科は数学、1つの国の学校での結果です。小学生や家庭での使い方で同じことが起きるかは、この実験からは直接は言えません。以下でこの結果を子どもの年齢の話に使うのは、類推です。ほかの研究(メタ分析や撤回された論文を含む)の位置づけは、先に挙げた場面ごとに整理した記事にまとめています。

文字も電卓も、出てきたときは同じ心配をされた

新しい道具が考える力を落とすと心配されたのは、生成AIが初めてではありません。

古い例は、プラトンの対話篇『パイドロス』にあります。ソクラテスが語るエジプトの話で、文字を発明した神テウトが、文字は人々の記憶と知恵を高める薬だとして、王タモスに差し出します。王はこれを退け、文字を学んだ人は自分の記憶を使わなくなり、忘れっぽくなると答えます(274c〜275b)。Fowler の英訳では、文字は “an elixir not of memory, but of reminding”(記憶の薬ではなく、思い出させるための薬)であり、学ぶ人に “the appearance of wisdom, not true wisdom”(本当の知恵ではなく、知恵があるように見えること)を与える、と言われます(Perseus Digital Library。日本語は英訳からのAI訳)。

この文字への批判は、皮肉なことに文字で書き残されたから今日まで伝わっています。王が心配したのは、文字があれば知っているように見えるのに、自分では分かっていない状態でした。練習では解けたのにAIなしでは解けなかった GPT Base の群と、形がよく似ています(ソクラテスの対話の方法はソクラテスの問答法の記事で扱いました)。

もう一つは電卓です。電卓が手ごろになったあとのアメリカでは、算数・数学の授業で電卓を使わせると計算の力が育たないのではないかが問われ、使わせた授業と使わせない授業を比べる研究が重ねられました。Hembree は1984年の博士論文で、それまでの研究79件をまとめています(テネシー大学 TRACE【記事公開日時点で42年前の論文】)。

その要旨によると、ふつうの授業と並行して電卓を使った生徒は、紙と鉛筆での基本的な計算の力がおおむね上がりました。例外は4年生で、4年生で電卓を使い続けると、基本的な計算の力が損なわれるように見えるとされています。なぜ4年生だけなのかは、要旨からは分かりません。一つの読み方は、その学年で練習している最中の技能に電卓を使ったかどうかが関わっていた、というものです。

本記事で確かめたのは学位論文の要旨までで、本文の詳しい条件は確かめていません。40年以上前の研究で、計算だけを代わりに行う電卓と、文章も答えも出す生成AIとでは肩代わりする範囲も違います。それでも、「電卓は結局問題なかった」とも「計算の力を奪った」とも単純には言えず、学年によって結果が分かれたことは読み取れます。

電卓の研究と Bastani の実験で分かれ目になったのは、道具があるかないかではなく、どの段階の、どの作業に使ったかでした。そう見ると、「何歳から使わせるか」という問いは、「どの考える作業を、まだ子ども自身に残しておくか」という問いに置き換えられます。

年齢より先に、どの作業を子どもに残すかを決める

ここまでを踏まえた見立ては次のとおりです。規約の年齢は下限として守る。そのうえで、使わせるかどうかは年齢よりも、その子がいま身につけている最中の作業をAIに肩代わりさせていないかで決める。身につけ終えた作業や、答えが合っているかを自分で確かめられる作業から使わせる。

根拠は三つあります。一つは Bastani らの実験で、自分で解く練習の代わりにAIを使った群は、AIなしの試験で使わなかった群を下回りました。二つ目は電卓の研究で、同じ道具でも4年生でだけ基本的な計算の力が損なわれるように見えました。三つ目は文部科学省のガイドラインで、不適切と考えられる例として、情報活用能力が十分に育っていない段階で自由に使わせることや、最初の感想を求める場面などで安易に使わせることを挙げています(p.18)。一つ目と二つ目は、子どもの生成AI利用そのものを調べたものではなく、そこから移して考えています。

同じ10歳でも、作文はまだ練習中で、かけ算はもう一人でできる、ということがあります。年齢一つで決めにくいのはこのためです。家庭で使う形にすると、次のようになります。

  • 規約の年齢を確かめ、それより下では使わせないか、保護者が管理できる仕組みがある場合だけにする
  • その子がいま練習している作業は任せない。たとえば、書き始めたばかりの作文、読書感想文の最初の感想、習っている最中の筆算
  • もう一人でできる作業や、答えを自分で確かめられる場面から使う。調べた事実を図鑑や教科書で照らし合わせられる場面などがそうです
  • AIの答えが合っているかを、はじめは大人と一緒に確かめる

作文と最初の感想の例は、文部科学省のガイドラインの不適切な例に対応しています。筆算の例は電卓の研究からの類推で、生成AIで確かめられたものではありません。大人が何をAIに任せるかの考え方はAIに任せてよい判断を考えた記事にありますが、子どもの場合は「いま身につけている最中か」という学びの段階が加わります。

「早く慣れた方が有利」は本当か

この見立てへのいちばん強い反対は、「生成AIはこれから当たり前に使う道具なのだから、早く慣れた方が有利だ」という考え方です。

この考え方には事実の裏づけがあります。中学生の30.8%、高校生の46.2%がすでに使っています。文部科学省のガイドラインも、生成AIを検索エンジンと同じように普段使いすることも視野に入れていく、という方向を示しています(p.17)。学校で使うことが前提になっていくなら、使い方に慣れていないこと自体が不利になる、という考えには筋があります。

弱いところもあります。早く使い始めた子が後で有利になったことを示す長期のデータは、本記事が確かめた範囲では見当たりません。また Bastani らの実験では、AIを使える間の成績の伸びは、AIを使えなくなった後の力を表していませんでした。使える間の上手さと、その子自身の力は、別々に測る必要があります。

見立てとこの考え方が食い違うのは、早く使うことで失うものがあるかどうかです。見立ては、練習中の作業を肩代わりさせると失うものがあるとみます。反対の考え方は、慣れによって得るものの方が大きいとみます。決着には、早く使い始めた子と遅く始めた子を何年か追いかけ、AIを使わない場面での力と、AIを使う場面での力の両方を比べる研究が要ります。

結論が変わる条件もあります。答えをそのまま出さずヒントを出す設計のAIを、大人が課題と一緒に用意できるなら、早めに使う理由は強くなります。Bastani らの実験で GPT Tutor の群に下がり方がほぼ見られなかったことが、その根拠です。その作業をもう一人でできる子なら、年齢が低くても使わせる余地があります。そして長期の追跡研究で早く始めた子の有利さが示されれば、見立ては変わります。

まだ分かっていないこと

生成AIを子どものころから使った場合に、学力や考える力が長い目で見てどうなるかは、まだ分かっていません。広く使われ始めてから数年しかたっておらず、調べられる期間が短いためです。

学習成果を測った実験として本記事で取り上げたのは高校生の数学の実験で、小学生を対象にした同じ設計の実験は確かめていません。家庭での使い方、たとえば親と一緒に使うか一人で使うかを比べた研究も、本記事の調査範囲では確かめていません。

こども家庭庁の調査で生成AIを尋ねたのは令和7年度が初めてで、利用が増えているかはまだ分かりません。令和7年度の速報が2026年2月に出たことから、令和8年度の速報は2027年の初めごろと見込まれ、そこで初めて前の年と比べられます。

まとめ

子供に生成AIを何歳から使わせるかについて、公的な年齢の答えはありません。規約が13歳や18歳を利用の下限としていて、学校向けの指針は小学生には慎重に、としています。同じ年の子では、10歳以上の小学生の8.6%、中学生の30.8%、高校生の46.2%が使っていて、小学生のあいだは使っていない子が多数派です。

見立ては、規約の年齢を守ったうえで、その子がいま練習している作業はAIに任せず、もうできる作業や答えを確かめられる作業から使わせる、というものです。「早く慣れた方が有利」という考え方には、多くの中高生がすでに使っているという裏づけがありますが、早く始めた子が後で有利になったことを示す長期のデータは確かめられていません。その研究が出るまでは、年齢より作業で決める方が、今ある実験の結果と食い違いが少なくなります。

参考文献

  1. こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」令和8年2月 https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/9a55b57d-cd9d-4cf6-8ed4-3da8efa12d63/23fcf9bc/20260226_policies_youth-kankyou_internet_research_results-etc_20.pdf
  2. 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」令和6年12月26日 https://www.mext.go.jp/content/20241226-mxt_shuukyo02-000030823_001.pdf
  3. 文部科学省「学校現場における生成AIの利用について」 https://www.mext.go.jp/zyoukatsu/ai/about.html
  4. Google「お子様による Gemini アプリの利用をサポートする」(Gemini アプリ ヘルプ) https://support.google.com/gemini/answer/16109150?hl=ja
  5. Microsoft “Microsoft Copilot age limits and parental controls” https://support.microsoft.com/en-us/topic/microsoft-copilot-age-limits-and-parental-controls-f79b47a6-288a-4513-8c01-afe4d16db900
  6. Anthropic “Consumer Terms of Service” https://www.anthropic.com/legal/consumer-terms
  7. UNESCO “UNESCO: Governments must quickly regulate Generative AI in schools”(2023年9月) https://www.unesco.org/en/articles/unesco-governments-must-quickly-regulate-generative-ai-schools
  8. Bastani, H., Bastani, O., Sungu, A., Ge, H., Kabakcı, Ö. & Mariman, R. (2025). “Generative AI without guardrails can harm learning: Evidence from high school mathematics.” PNAS 122(26), e2422633122. https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2422633122
  9. Plato, Phaedrus 274c–275b, trans. H. N. Fowler (1925), Perseus Digital Library http://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Perseus:text:1999.01.0174:text=Phaedrus:page=275
  10. Hembree, R. (1984). Model for meta-analysis of research in education, with a demonstration in mathematics education: Effects of hand-held calculators. Doctoral dissertation, University of Tennessee. https://trace.tennessee.edu/utk_graddiss/12884
  11. Yahoo!知恵袋 質問 q13281057683(2023年6月) https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13281057683

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